BLOG 世界の都市と鉄道

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洪水は秘湯の大敵でもあり、味方でもある

秘湯の源泉は川底や川岸であるケースが多く、そのため、有名な法師温泉の「法師乃湯」や、酸ヶ湯の「ヒバ千人風呂」などなどは、小川の直上に建てられたそうです。すなわち、大雨によって風呂の建屋が流されてしまうリスクがあるということです。昨年夏の九州の豪雨では玖珠川の氾濫により、天ケ瀬温泉が大きな被害を受けました。この温泉街に今年2月に旅した時、川沿いの露天風呂の中には、まだ復旧工事中のところもありました。この川沿い露天風呂の大半が丸見え状態なのは、温泉街道路やホテルの客室から見えるので(深山渓谷の露天風呂と比べて)気になるところなのですが、大きな川のほとりにあって今後も洪水被害に襲われる場所であることを考えると、建屋を建てず露天のままにしておく意味があるのでしょう。ところで、洪水は温泉文化の発展に寄与することもあったという事実を、最近本を読んで知りました。

山村順次著 47都道府県温泉百科 (丸善出版)ISBN978-4-621-08996-5

103~104ページ 「江戸中期、1723(享保8)年の豪雨で五十里堰が決壊した際、川治村の村民は高所に逃れて人的被害は免れたが、その数日後にいかだ流しが濁流でえぐられた川岸に湯けむりを上げている温泉を発見した。その後、この源泉を利用した薬師の湯の浴場が、近在の人々の湯治の場となり、宿屋も開設された」

この川治温泉の薬師湯と、天ケ瀬温泉の「駅前温泉」は、駅から最も近い混浴露天風呂ですね。川治のほうは男女別の露天風呂も併設されています。